アクセサリ・陶磁器・雑貨の手作りユニット
前回の記事でスライスまで紹介してしまいましたが、
よりによってクライマックスのところ
もうちょっと写真を撮ってあったようなので
少し時間が戻ります。
スライスする前に、模様が出来上がっている
粘土の形を整えます。
こうしておかないとロスが多くてもったいないので。
(実は前回学んだので初の試み)
もともと四角くできているブロックですが、
型紙に合わせて楕円にします。
ここでやっとスライス。
粘土の左右に見えてるのが「たたら板」です。
両手使うので写真が撮れなかったのですが、
この板の上に切り糸を押し付けて
手前にぐぐーっと引っ張ると
板の厚みに合わせてスライスできるという寸法です。
切った粘土を、「たたら」と呼びます。
練り込みじゃなくてもよく使われる道具ですね。
私が使うのは3mmのたたら板。
通常の陶土ではもたないので、あまり使われない厚さです。
磁土は焼きあがると、とっても丈夫なのです。
よく見ていただくとわかりますが、この時点では
かなり気泡が入っています。
そこで次の工程。
布の間に挟んで、砂袋でこれでもかと言うほど叩きます。
布目がついてしまうとヤスリがけが大変なので
目が細かい布を使っています。
それこそもう親の敵のように叩いています。
そうすることで、気泡が抜けるんですね。
気泡に親を殺されたかの勢いです。
私は「叩けばなんとかなる教」と言っていますが、
練込は叩いてればなんとかなります。
教祖は砂袋さんです。
叩きすぎてぼこぼこになった、かわいそうなたたらを
めん棒で平らにしてあげます。
お菓子なんかに使われるアレです。
ここで登場するのが前回の記事で載せた写真ですが
かなり気泡が抜けて綺麗になってるのが
お分かりいただけるかと思います。
3mmのものをこれでもかというほど叩きますので、
この時点で2mmくらい。ものすごい薄いです。怖いです。
全ては透ける器のため……
先ほどの型紙をもう一度あてて、
石膏型にちょうどいいサイズに切り出します。
デザインナイフを使っています。
次はいよいよ成形です。
よかったらまた続きをご覧になってください。
スライスしたたたらをきれいにしたら、やっと成形です。
手ろくろの上に用意した石膏型の上にたたらを置いて
押し付けて形を作っていきます。
私の作る器の形の特長は
この石膏型によるところが大きいです。
練込の本をたくさん書かれている
室伏英治先生の影響ではあるのですが。
(ここまで本の紹介をしていなかったのが考えられない)
押し付けたたたらの形をよりはっきりさせるために
なめし革で表面をなぞります。
乾かす前に、ハンコを捺しておきます。
この時点でこんなに色が見えているのは、
完全に焼いたら濃すぎるパターンです……
しかも木目ももう少し細かくしたかった。
練込は難しいですね。
普通の陶土での板作りでは、石膏型が水を吸って
きちんと形になるのですが
磁土は腰が弱くてこのまま型を外すと形が崩れてしまいます。
そこで、企業秘密ばりの方法をとります。
まあそんなに大したことではないので紹介してしまいますが
普通ありえません。
石膏型にかぶせたまま、ドライヤーで乾かします。
※ この方法はまだ成功が確立していません。
絶対に真似しないでください。→ 8/7追記: セーフでした。きちんと焼けましたよ。
これは先生と徹夜ぎみで作業しているときに
ハイテンションで思いついた方法。
このまま買い物に行って帰ってきたら
真っ白になっていて大笑いしたのはいい思い出です。
石膏型にかぶせたままの乾いたたたらに
小さな板をかぶせ、ひっくり返します。
そのまま石膏型を引き抜くと……
成形完了です!
次は素焼き前の仕上げ作業。
よろしかったらまたご覧ください。
以前にご紹介した、四角いホタテのような磁土練込のお皿
若干失敗したものをテストとして焼いてみたのですが、
焼き上がりましたのでご紹介します。
ちなみにこちらが焼く前。
ほぼほぼ真っ白でした。
そして焼き上がり。
テストなのでろくな写真撮ってないのですが……
歪んでしまったもの(手前)を無釉薬で、
最後にとったので小さくなってしまったもの(奥)に透明釉をかけました。
私は透明釉をかけたほうが仕上がりが好きなのですが、
先生は無釉のほうがきれいだとおっしゃるので
実際半々ずつにしようかと思っています。
かなり色が出ているのがお分かりいただけるかと思います。
これが顔料練り込みの本当に難しいところ。
もっと淡い色を出したかったんですが、なかなかうまく行きません。
型の問題で、上の四辺が避けやすかったのですが、
案の定、奥のひとつは1箇所ヒビが入っていました。
成功率50%ということですね。
今展開している「練込磁器ができるまで」シリーズの中で
ご紹介している、ドライヤーで乾かすという強引な方法。
実は、奥のひとつがこれを用いてるんですね。
もしかすると、この方法をとったものが全滅という可能性も……
なので、あれはまだ真似しないでください。
他のものの成功を見届けたら、追って公開します。
ちなみに、こちらも薄い磁器なので光にかざせば透けます。
模様がきれい。
素焼き時点まではキレイにとれている6枚が
本番としてこのあと控えています。
いちいちひとつずつ焼いているともったいないので
窯いっぱいまで溜めてから焼く予定なのです。
要するに、直前になって全滅、という可能性もあります。
どうにかうまく焼けるといいのですが……