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うたかたファクトリー

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練込磁器ができるまで その2:木目風模様を作る

前回は色土を1色作ったところで混乱してやめましたが、
日を改めたら気を取り直せましたので全ての色土を作りました。
いよいよ木目模様を作っていきます。

各粘土の確認

模様を作り始めてからですと取り返しがつかないので
ここまでできた色土を確認しておきます。

2014-07-16 16.46.26

全部似たような色に見えると思いますが、
左2つが白、右上ふたつが緑・茶色の色土、
右下ふたつが失透磁土(※)です。
だいたい同じ大きさに、四角のブロックにまとめておきます。

※ 失透磁土とは、普通の磁土に「カオリン」という粉末を加えたもの。
私の使っている磁土は透光性があるのですが、カリオンを混ぜると
透光性を失い、光が透けなくなります。
白い部分にこの失透磁土を含めると、光にかざした時に
面白い表情が出せるのです。

磁土は焼くと(少し青みががった)真っ白になりますので、
色は濃く出がちなんですね。
こんなに同じ色に見えてても
実は現時点では色が濃すぎたと感じています。

テストピースを基に計算してあるとはいえ、
焼き上がりまで色の加減が分かりません。
そこが練込で最も難しいところです。

ここからは、乾かないように
ことあるごとに霧吹きをかけて柔らかさを保ちます。

模様にしていきます

いよいよ本格的に練込の作業に入ってきます。

私の作る木目シリーズはとてもシンプルですので
これといって特筆することはないのですが……。

まず、各色を設計に沿って重ねます。

2014-07-16 17.03.07

上から、白・茶・失透磁土・白・緑・失透磁土、です。
かなり色が同じでわかりづらいですね;

下に敷いてあるのはスポンジシート。
磁土を扱うにあたって、とても適した素材です。

 

これを高さを抑えながら伸ばし、半分に切って重ねます。

2014-07-16 17.05.37 2014-07-16 17.07.31

ちなみに右の写真上部に写っているのは、
青竹から作ったオリジナルの道具です。

 

この手順を4回~5回繰り返して、まずはストライプ模様を作ります。

2014-07-16 17.11.42

断面は比較的わかりやすいですね。
2回繰り返した時点の写真です。

ちなみにここまでかなり空気が入っていますが、
最終段階で気泡が抜けるのであまり気にせず
作業してしまいます。

満足のいく幅のストライプに仕上がったら、
伸ばしたり縮めたりしつつ歪ませます。
ここで木目っぽくなるんですね。

型紙に合わせて形をまとめる

型紙に合わせてちょうどいい大きさの
楕円にまとめます。

2014-07-16 17.41.06

スライスする

いざ、模様の確認。
3mmのタタラ板を使って、切り糸でスライスしていきます。
この瞬間は練込作陶で2番目に大好きな瞬間ですね。
ちなみに1番はもちろん焼き上がりです。感動する。

 

スライスすると、きれいな木目風の模様が出ました!

2014-07-16 17.50.25

最初に柔らかくしておくのは、この工程で硬すぎると
うまくスライスしきれなくなってしまうためです。

 

長くなりましたので、次回に続きます

練込磁器ができるまで その3:スライス

前回の記事でスライスまで紹介してしまいましたが、
よりによってクライマックスのところ
もうちょっと写真を撮ってあったようなので
少し時間が戻ります。

スライス準備

スライスする前に、模様が出来上がっている
粘土の形を整えます。
こうしておかないとロスが多くてもったいないので。
(実は前回学んだので初の試み)

もともと四角くできているブロックですが、
型紙に合わせて楕円にします。

2014-07-16 17.41.06

 

スライス

ここでやっとスライス。
粘土の左右に見えてるのが「たたら板」です。

2014-07-16 17.42.42

両手使うので写真が撮れなかったのですが、
この板の上に切り糸を押し付けて
手前にぐぐーっと引っ張ると
板の厚みに合わせてスライスできるという寸法です。
切った粘土を、「たたら」と呼びます。
練り込みじゃなくてもよく使われる道具ですね。

私が使うのは3mmのたたら板。
通常の陶土ではもたないので、あまり使われない厚さです。
磁土は焼きあがると、とっても丈夫なのです。

よく見ていただくとわかりますが、この時点では
かなり気泡が入っています。
そこで次の工程。

叩く

布の間に挟んで、砂袋でこれでもかと言うほど叩きます。
布目がついてしまうとヤスリがけが大変なので
目が細かい布を使っています。

2014-07-16 17.44.30

 

それこそもう親の敵のように叩いています。
そうすることで、気泡が抜けるんですね。
気泡に親を殺されたかの勢いです。

私は「叩けばなんとかなる教」と言っていますが、
練込は叩いてればなんとかなります。
教祖は砂袋さんです。

平らにする

叩きすぎてぼこぼこになった、かわいそうなたたらを
めん棒で平らにしてあげます。
お菓子なんかに使われるアレです。

2014-07-16 17.51.24

ここで登場するのが前回の記事で載せた写真ですが
かなり気泡が抜けて綺麗になってるのが
お分かりいただけるかと思います。

2014-07-16 17.50.25

3mmのものをこれでもかというほど叩きますので、
この時点で2mmくらい。ものすごい薄いです。怖いです。
全ては透ける器のため……

型紙に合わせてカット

先ほどの型紙をもう一度あてて、
石膏型にちょうどいいサイズに切り出します。
デザインナイフを使っています。

2014-07-16 17.53.23

 

 

次はいよいよ成形です。
よかったらまた続きをご覧になってください。

練込磁器ができるまで その4:成形

成形

スライスしたたたらをきれいにしたら、やっと成形です。

手ろくろの上に用意した石膏型の上にたたらを置いて
押し付けて形を作っていきます。

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私の作る器の形の特長は
この石膏型によるところが大きいです。

練込の本をたくさん書かれている
室伏英治先生の影響ではあるのですが。
(ここまで本の紹介をしていなかったのが考えられない)

押し付けたたたらの形をよりはっきりさせるために
なめし革で表面をなぞります。

2014-07-16 18.21.40

 

乾かす前に、ハンコを捺しておきます。

2014-07-16 18.24.17

この時点でこんなに色が見えているのは、
完全に焼いたら濃すぎるパターンです……
しかも木目ももう少し細かくしたかった。
練込は難しいですね。

 

乾燥

普通の陶土での板作りでは、石膏型が水を吸って
きちんと形になるのですが
磁土は腰が弱くてこのまま型を外すと形が崩れてしまいます。

そこで、企業秘密ばりの方法をとります。
まあそんなに大したことではないので紹介してしまいますが
普通ありえません。

2014-07-16 18.24.53

石膏型にかぶせたまま、ドライヤーで乾かします。

※ この方法はまだ成功が確立していません。
絶対に真似しないでください。
→ 8/7追記: セーフでした。きちんと焼けましたよ。

これは先生と徹夜ぎみで作業しているときに
ハイテンションで思いついた方法。
このまま買い物に行って帰ってきたら
真っ白になっていて大笑いしたのはいい思い出です。

型を外す

石膏型にかぶせたままの乾いたたたらに
小さな板をかぶせ、ひっくり返します。

2014-07-16 18.35.37

そのまま石膏型を引き抜くと……

2014-07-16 18.36.35

 

成形完了です!

 

次は素焼き前の仕上げ作業
よろしかったらまたご覧ください。

 

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