アクセサリ・陶磁器・雑貨の手作りユニット
先日新しい作品に手を付けたのですが、
もうなんか、とんでもなく混色に苦戦しました……
元々は「練込磁器ができるまで」という
シリーズを展開したかったので、
順を追って説明しますね。
失敗したらそこで終了なので、完結するかは分かりません。
かなり長いので、興味がある方だけどうぞ。
果たして誰か読んでくれるんでしょうか。
まずはこれでもかってくらい掃除します。
これ、かなり大事なんです。
陶土と共通の道具もたくさんあるのですが、
実は陶土に含まれる鉄分が磁土には天敵。
焼き上がりに黒い点が出てしまうんですね。
だから、徹底的に掃除します。
机なんかは5回以上、拭いて雑巾を洗って、
という手順を繰り返してます。
はかりや霧吹きなんかも念入りに洗います。
きれいな模様を作るために必須の分量計算。
焼き上がりまで最終的な色がわからないので難しいんです。
どの色土をどのくらい使うのか。
必要な土はどのくらいなのか。
色土に何%顔料を混ぜるのか。
前もって計算します。
磁土に混ぜる顔料は、1%~2%くらいでかなりシビア。
予めテストピースを作って色の確認をしてあるので、
それを参考に計算します。
結果として必要な顔料を小数点以下まで計算、
それに使う土も同様です。
頭が悪いので、内割で計算するのは結構骨が折れます。
この日は(だらだらおしゃべりしながらですが)30分ほどかかりました。
やっと土を触ります。
計算に則って計量した磁土を、かなり柔らかくします。
練込は柔らかくしておかないと作陶の最終段階で失敗してしまうんです。
保存袋から出したばかりの磁土は硬いので、
水分調整をします。
目安としては、クリームチーズくらいに。
非常にわかりにくい写真はこちらです。
私は練込作陶の中で2番目に嫌いな作業です……。
単純で面白くない上にすごく時間がかかる。
(ちなみに1番嫌いなのはヤスリがけです)
これ、磁土を扱っている方にとっては考えられない方法なんですが
「小さくちぎって霧吹きをかけてまとめる」
これを1ブロックにつき4~5回繰り返します。
実際、磁土専門の私の先生は、最初半信半疑の目で見ていました。
一度に水分調整ができる粘土は500gが限度です。
色ごとに4ブロックはあるので、都合5回以上やります。
2kgで軽く1時間以上かかっています。
計算した分量に従って、色土を作っていきます。
粉末の顔料をいちいち混ぜていくと均等に混ざらないし大変なので、
「カラーベース」というものを事前に作ってあります。
顔料と磁土を半々に混ぜてあるもので、50%の色土です。
これを小数点以下第一位まで測れるデジタルスケールで測っておいて
先ほどの磁土に混ぜていきます。
ちなみに背景の左がデジタルスケール、
右がテストピースとカラーベース各色です。
ここで大失敗! まあ計算段階で間違えてはいました。
明らかにカラーベースが多すぎるとは思いましたが、
できた色土がとてもじゃないけど濃すぎる。
結局、計算も計量も水の泡となって、慌てて磁土を足しました。
また「この色土は何%なのか」の計算し直しです……。
この日の作業はタイムオーバーにてここで終了。
半ば心が折れかけました。
色土が1色しかできていないのに、3時間半。
まったくもって非生産的な1日でした。
前回は色土を1色作ったところで混乱してやめましたが、
日を改めたら気を取り直せましたので全ての色土を作りました。
いよいよ木目模様を作っていきます。
模様を作り始めてからですと取り返しがつかないので
ここまでできた色土を確認しておきます。
全部似たような色に見えると思いますが、
左2つが白、右上ふたつが緑・茶色の色土、
右下ふたつが失透磁土(※)です。
だいたい同じ大きさに、四角のブロックにまとめておきます。
※ 失透磁土とは、普通の磁土に「カオリン」という粉末を加えたもの。
私の使っている磁土は透光性があるのですが、カリオンを混ぜると
透光性を失い、光が透けなくなります。
白い部分にこの失透磁土を含めると、光にかざした時に
面白い表情が出せるのです。
磁土は焼くと(少し青みががった)真っ白になりますので、
色は濃く出がちなんですね。
こんなに同じ色に見えてても
実は現時点では色が濃すぎたと感じています。
テストピースを基に計算してあるとはいえ、
焼き上がりまで色の加減が分かりません。
そこが練込で最も難しいところです。
ここからは、乾かないように
ことあるごとに霧吹きをかけて柔らかさを保ちます。
いよいよ本格的に練込の作業に入ってきます。
私の作る木目シリーズはとてもシンプルですので
これといって特筆することはないのですが……。
まず、各色を設計に沿って重ねます。
上から、白・茶・失透磁土・白・緑・失透磁土、です。
かなり色が同じでわかりづらいですね;
下に敷いてあるのはスポンジシート。
磁土を扱うにあたって、とても適した素材です。
これを高さを抑えながら伸ばし、半分に切って重ねます。
ちなみに右の写真上部に写っているのは、
青竹から作ったオリジナルの道具です。
この手順を4回~5回繰り返して、まずはストライプ模様を作ります。
断面は比較的わかりやすいですね。
2回繰り返した時点の写真です。
ちなみにここまでかなり空気が入っていますが、
最終段階で気泡が抜けるのであまり気にせず
作業してしまいます。
満足のいく幅のストライプに仕上がったら、
伸ばしたり縮めたりしつつ歪ませます。
ここで木目っぽくなるんですね。
型紙に合わせてちょうどいい大きさの
楕円にまとめます。
いざ、模様の確認。
3mmのタタラ板を使って、切り糸でスライスしていきます。
この瞬間は練込作陶で2番目に大好きな瞬間ですね。
ちなみに1番はもちろん焼き上がりです。感動する。
スライスすると、きれいな木目風の模様が出ました!
最初に柔らかくしておくのは、この工程で硬すぎると
うまくスライスしきれなくなってしまうためです。
長くなりましたので、次回に続きます。
前回の記事でスライスまで紹介してしまいましたが、
よりによってクライマックスのところ
もうちょっと写真を撮ってあったようなので
少し時間が戻ります。
スライスする前に、模様が出来上がっている
粘土の形を整えます。
こうしておかないとロスが多くてもったいないので。
(実は前回学んだので初の試み)
もともと四角くできているブロックですが、
型紙に合わせて楕円にします。
ここでやっとスライス。
粘土の左右に見えてるのが「たたら板」です。
両手使うので写真が撮れなかったのですが、
この板の上に切り糸を押し付けて
手前にぐぐーっと引っ張ると
板の厚みに合わせてスライスできるという寸法です。
切った粘土を、「たたら」と呼びます。
練り込みじゃなくてもよく使われる道具ですね。
私が使うのは3mmのたたら板。
通常の陶土ではもたないので、あまり使われない厚さです。
磁土は焼きあがると、とっても丈夫なのです。
よく見ていただくとわかりますが、この時点では
かなり気泡が入っています。
そこで次の工程。
布の間に挟んで、砂袋でこれでもかと言うほど叩きます。
布目がついてしまうとヤスリがけが大変なので
目が細かい布を使っています。
それこそもう親の敵のように叩いています。
そうすることで、気泡が抜けるんですね。
気泡に親を殺されたかの勢いです。
私は「叩けばなんとかなる教」と言っていますが、
練込は叩いてればなんとかなります。
教祖は砂袋さんです。
叩きすぎてぼこぼこになった、かわいそうなたたらを
めん棒で平らにしてあげます。
お菓子なんかに使われるアレです。
ここで登場するのが前回の記事で載せた写真ですが
かなり気泡が抜けて綺麗になってるのが
お分かりいただけるかと思います。
3mmのものをこれでもかというほど叩きますので、
この時点で2mmくらい。ものすごい薄いです。怖いです。
全ては透ける器のため……
先ほどの型紙をもう一度あてて、
石膏型にちょうどいいサイズに切り出します。
デザインナイフを使っています。
次はいよいよ成形です。
よかったらまた続きをご覧になってください。